沖縄の伝統的な民家 – 2
沖縄の暮らしには、昔から受け継がれてきた信仰や風習があります。先祖を敬う気持ちはもちろん、家のあちこちを守る神様への祈りも大切にされてきました。
火の神や床の神、戸柱の神、便所の神、屋敷の神、紫微の神など――暮らしのすぐそばに神様がいると考えられていたのです。
そうした習わしと南国ならではの気候が合わさって、沖縄独自の民家の間取りが生まれたのでしょう。
伝統的な民家の特徴
❶ 一番座
「一番座(イチバンジャー)」と呼ばれる部屋です。
ここは家の中でも最も格式の高い場所とされ、客間としても使われました。そしてこの一番座には「床の神(トゥクシン)」が祀られています。床の神は、人間の徳を高め、知恵を授け、家の繁栄を見守る神様。昔の沖縄の家では大切に守られてきました。お客様を迎える部屋に神様を祀ることで、「人とのご縁」や「家の安泰」を願っていたのです。母屋の一番東側にあるので、午後からはあまり暑くなく一番快適な部屋と言えます。
❷ 二番座
「二番座(ニバンジャー)」と呼ばれる部屋です。
「イチバンジャー」の隣にあり、先祖を祀る仏壇(トートーメー)のある仏間で「御霊前の間」とも呼ばれます。年中行事や法事の際には家族が自然と集まる大切な場となりました。人が集い、笑い声や祈りが交わる温かい雰囲気が二番座にはあります。家の中心ともいえる場所です。
❸ 三番座(又は板間)
「三番座(サンバンジャー)」と呼ばれる部屋です。居間や茶の間、食事部屋として利用されていました。農作物の仕分けなどに使われた作業場でもあったようです。
❹ 一番裏座
各座敷の裏側には裏座という小さな部屋があります。居室や物置として利用されていました。
一番座の裏にあるから「一番裏座」と言われています。この部屋は長男夫婦や男子の子供の居室として使われていました。
❺ 二番裏座
二番座の裏にあるから「二番裏座」と言われています。この部屋は主人夫婦や女子の子供の居室、その他の家族の寝室として使われていました。
三番座がある家では、三番裏座までありました。
❻ 台所
台所は母屋の北西側に配置されます。台所に祀られるかまどの神様を「火の神(ヒヌカン)」といいます。毎月旧暦の1日と15日は「ヒヌカン」に感謝を述べ、報告やお願いごとをします。「ヒヌカン」は「トートーメー」よりも古くから信仰され、色んな神様にアクセスできると考えらています。遠くにいる家族の安全なんかも「ヒヌカン」にお願いできたりします。
❼ 縁
座敷と庭の間には「縁(ヰン)」が設けられています。このヰンは「雨端(アマハジ)」と呼ばれる、屋内と庭をつなぐ中間の空間にあります。低い軒が強い日差しを和らげ、雨風を防いでくれるため、沖縄の気候に合った工夫といえます。家族が腰を下ろして語らったり、近所の人が気軽に立ち寄ったり――ヰンは人と人との交流を育む大切な場所でもありました。
❽ フール(豚小屋・便所)
フールは、豚小屋と便所を兼ねた独特の造りで、敷地の北西の隅に配置されました。そこには「フールの神」が祀られ、屋敷の神々の中でも最も格が高いとされていました。便所をきれいに保つために、あえて一番偉い神様を祀ったのかもしれません。排泄物を無駄にせず豚の飼料にするという循環は、現代でいう「サスティナブルな暮らし」に通じる知恵でもあります。
写真の場所は沖縄県立博物館の屋外展示です。




